🤫 「子の子餅」は惟光の洒落で、亥の日の翌日、子の日だから、そういったのです。 六条の 御息所 ( みやすどころ )はそういう取り 沙汰 ( ざた )を聞いても不快でならなかった。
17⚐ この数年来、何かと物思いの限りを尽くしてきたが、こんなにも苦しい思いをしたことはなかったのに、ちょっとした事の折に、相手がわたしを無視し、蔑ろにした態度をとった御禊の日の後からは、あの一件によって抜け出るようになった魂が、鎮まりそうもなく思われるせいか、少しうとうととなさる夢には、あの姫君と思われる人の、たいそう清浄にしている所に行って、あちこち引き掻き廻し、普段とは違い、猛々しく激しい乱暴な心が出てきて、荒々しく叩くのなどが現れなさることが、度重なったのだ。 (調伏されて)体がとても苦しいので、しばらく(祈禱を)休ませてくださいと申し上げようと思って(お呼びしました)。
9👈 この巻の登場人物で注目すべきは、六条御息所という女性です。 斎宮の御潔斎中の迷惑にならないであろうかとも久しく考えていたが、わざわざ送って来た手紙に返事をしないのは無情過ぎるとも思って、紫の灰色がかった紙にこう書いた。 男の子でさえあったので、そのお祝いの儀式が、盛大で立派である。
19🖕 物の怪や生霊などというものがたくさん現われ出てきて、いろいろと名乗りを上げる中で、憑坐にも一向に移らず、ただご本人のお身体にぴったりと憑いた状態で、特に大変にお悩ませ申すこともないが、その一方で、暫しの間も離れることのないのが一つある。 ひだが深く、いろいろの刺繍がしてあった。
6😋 「以前には、とても危ないとの噂であったのに、安産であったとは」と、お思いになった。
🤚 「たいそう変だ」とお考えめぐらすと、まったく、あの御息所その人なのであった。 死はそうしたものであるが、 前 ( さき )に一人の愛人を死なせただけの経験よりない源氏は今また非常な哀感を得たのである。 あの六条の 御息所 ( みやすどころ )の生んだ前皇太子の忘れ形見の女王が 斎宮 ( さいぐう )に選定された。